第26話 気づき_ひかり 閃々(せんせん)と

ごあいさつ

ガーベラの花 TEMIKPHOTO-168193

こんにちは。
久しぶりのブログ更新となりました。
長い間休眠をしておりましたので、
さぁ、目覚めのブログとして
どんな話題をテーマにしてよいのやらと、
あれこれと迷ってしまいました。

記念写真 TEMIKPHOTO-165617

考えた末、日々の習慣の中で感じた
とても身近な「気づき」から取り上げることにしました。
でも、これは私だけでなく、
誰にとっても大きな変化ではないかなと推測しています。

公園の少女 TEMIKPHOTO-165622

共通する大きな変化とは……?
それが何であるかは後ほどお話しするとして、
まずは、そのきっかけとなった出来事を
最近の日々の様子を交えながらお話ししていきますね。

日々の習慣から得ること

神奈川県・観音崎より対岸を望む TEMIKPHOTO-159240

写真の中で風景をメインに作品作りをしていますが、
撮影をする上で重要なポイントと言えば「空模様」や、
大地に降り注ぐ「光」の存在があります。

雲 TEMIKPHOTO-168300

ですから、戸外へ撮影をしに出掛けない日も、
季節を問わず日に何度か家の二階の窓から
変化していく空を眺めながら
作品作りの参考にしています。

神奈川県・江の島より 丹沢山系を望む TEMIKPHOTO-52681

この習慣は、初めのうちは
空の様子や、地平線上に横たわる
神奈川県・丹沢山系の山並みだけを
意識的に眺めていました。

神奈川県・辻堂海岸の眺め TEMIKPHOTO-164947

山を眺めると言っても
家から数十㎞先にあるので、
手前に見える郊外住宅の
屋根と屋根の隙間を埋めるように
見える程度なのです。
それでも日没前後の空の色や、
特に残光が照らす山々の頂きの様子は、
やはり美しく、またドラマティックです。

東京スカイツリーからの眺め TEMIKPHOTO-164947

そして、この郊外住宅の
何の変哲もない眺め=全くもってつまらない風景!と
ずっと思い込んでいたのです。

ところが、ある日を境にして、見方が
変わってしまったのでした。

日々の習慣に+αの楽しみとは

鷺(サギ) TEMIKPHOTO-33869

住宅街の中。
ここで繰り広げられる活動には、
人と共生をする
鳥たちや動物たちも含まれています。

今更ながらではありましたが、
身近にいる彼らの存在に、
今一度気づいて観察をしてみると、
行動が愛らしくて、
時にはお茶目なのですね。

こうしてフォトジェニックとは思えない
住宅街の風景に対して、
日々の習慣に+アルファの楽しみが
生まれたのでした。

鷺(サギ) TEMIKPHOTO-33890

愛らしい鳥たち

浜辺の鳥 TEMIKPHOTO-165340

ある日のことでした。
いつものように空を眺めようとして、
中空の電線にふと目がとまったのです。

そこにいたのは、
一羽の灰色がかったヒヨドリでした。
こちらの気配を気づかせぬように、
そっと観察していたのです。

鳥は、通る声で何度も繰り返し囀ります。
そしてほどなく、
思っていた通りお相手が到着しました。

ペアのムクドリ TEMIKPHOTO-168145


ヒヨドリは雄雌共に同色ですので、
どちらが先に待っていたのかは判別不明ですが、
「ごめん、待った……?それじゃぁ、行こう!」
こう言わんばかりの様子で、
あっという間に仲良く飛び立っていきました。

目前で繰り広げられていたこの微笑ましい光景は、
ムクドリや、鳩のペアでも同じです。

浜辺の鳥たち TEMIKPHOTO-165281

後になって気がついたのですが、
仲睦まじい鳥たちの行動を、
しばらく眺めていたいとその時感じたのは、
ちゃんとした理由があったからなのですね。

東京・浅草にて TEMIKPHOTO-160085

思えば、人間世界でずっと横行している嘘や欺瞞、
私利私欲などにうんざりしていたのでしょう。
こんな自分の心に、リセットをかけたいという
強い願望があったに違いないのです。

吾輩は路上の主である

ひとつの事に気づき始めると、
あら不思議、
更に他も色々呼び寄せてしまうのでしょうか。

一本道 TEMIKPHOTO-168058

眼下に広がる住宅街には、
家並みを左右に分ける
やや蛇行した道が縦に一本通っていて、
この辺りでは唯一、見た目には
「抜けが良い場所』となっています。

「中猫(ナカネコ)」と名を付けた猫 TEMIKPHOTO-167913

ここには、
ご近所の猫がよく出没します。
憂悶果敢(ゆうもうかかん)とまでは言えませんが、
なかなか肝の据わった飼い猫です。
猫の毛の色によってサビ猫とか、
ベッコウ猫とかの名前があるようですが、
黒に茶の混じったこの猫は
何猫と呼ぶのでしょうか。

さて、この猫。
道で、ご披露してくれる行動があります。
これは、猫の習性の一つなのかもしれません。
そこは、とてもお気に入りの場所なのかもしれません。
日に何度かするのは、
気分でやっているのかもしれません……。

少女と猫 TEMIKPHOTO-167917

さてさて、もったいぶらずに
この辺りで言ってしまおうかしら?
ここを読んで下さる皆さんに
一体何をしていたかって……!

猫は、「白昼堂々、道の真ん中で
平気の平左(へいざ)で座っていたのですよ~」(笑)
(車が)スピード上げて来たら危ないじゃないですか?

眺めていて、ハラハラドキドキの展開に、
私は猫に言いたいのです。
私の日々の習慣である「空を眺め、山を眺めて~」と、
アート的思考モードから変換できぬままに
いきなりあの光景を
目撃した身にもなってみて下さいな!
お茶目を通り越していませんか。


猫同士のご対面

以来、道の真ん中に座るこの猫を、
愛着を込めて名前を
「中猫(ナカネコ)ちゃん」と呼ぶことにしたのです。

宅配トラック TEMIKPHOTO-166598

中猫ちゃんは、
ギャグのような展開も見せてくれたことがあります。
猫のロゴマークの付いた宅配トラックと、
道の真ん中で対面したのです。
この組み合わせは、
ただもう可笑しいの一言でした.

弾みをつけて走ってきた猫トラックが、
例の場所手前で中猫の存在を確認。
この時、内心、
『猫トラックVS中猫ちゃん』の
見合って~!の構図になるのかなと思いきや、
猫トラックはゆっくりと道端に寄って、
中猫ちゃんを驚かせぬように進んでいったのです。
さすがプロのドライバーさん♪

道から去る「中猫」 TEMIKPHOTO-166589

一方、この道の主である中猫ちゃんは、
猫トラが通過してくのを横目で確認すると、
「よいしょっと!」と漸く腰を上げて
飼い主の家へゆったりと入っていきました。

猫同士の対決はなく、逆にお互いの奇妙な
紳士的な譲り合いを垣間見て
嬉しくなってしまいました。

一時は、どちらも頑張れ~!とその成り行きを
固唾をのんで観察していたのですが、
結果はなあんだ!と思うほど拍子抜け。
ドライバーさんも、中猫ちゃんも、
双方ご対面には慣れている様子でした。

猫を見つけたドライバー TEMIKPHOTO-167921

車が来ると、
きちんと危険を回避出来る様子から、
とても利発だとわかるのですが、
同時に愛らしいなと感じたこともあります。

こんな光景も、
たまたま偶然の出来事よね!と思っていましたら、
あにはからんや、日常茶飯事でした。
逆に「吾輩は路上の主である~!」と、他の車や、
自転車の方が避けて通ることもありますよ。

この界隈では、もしかすると
私だけが知らなかっただけで、
結構有名な猫なのかもしれません。

猫 TEMIKPHOTO-168309

以前、私が散歩帰りに
直接路上で中猫ちゃんと出会ったことがありました。
年配の女主人が買い物から
この道に戻ってくると、すぐに彼女の所まで
お出迎えをし、そこから一緒に歩いて戻るのです。

女主人の顔を時折見上げながら、家路を歩くその仕草に、
言い知れぬ暖かな気持ちになったものです。

窓辺に降り注ぐ光

神奈川県・逗子海岸にて TEMIKPHOTO-150527 

そして、思いもかけない変化に気づいたのは、
昨年の7月初旬のある梅雨晴れの日のことでした。

神奈川県・葉山の海岸にて TEMIKPHOTO-157525

この時は、
「ヒヨドリの愛らしいドラマ』や、
「吾輩は路上の主である』的な光景ではなく、
もっと別次元のつかみどころのない気づきでした。

川 TEMIKPHOTO-140714

いつものように
『今日も何かに出会えるかな?』と
すっかり楽しくなった習慣を、
空模様からチェックしようと窓辺に目を向けたのでした。

静岡県・御前崎にて TEMIKPHOTO-153751

下がっている薄手の白地カーテンに
当たる光を眺めたその時、
何故かそれまでとは違う、
より眩い光に変わったと
直観的に私の心が捉えたのでした。

海ボタルにて TEMIKPHOTO-155183

すぐさま我に戻ったものの、今度は疑問が次々と
湧いてきたのです。

神奈川県・逗子海岸にて  TEMIKPHOTO-150309 

『いつからなのだろう、この光!
まさかね?ええ、そんなわけはない……。
ここは日本。(住んでいた)スペインじゃない。
では、(スペインのような)コントラストの高い光がここにあるのは、何故?』

スペイン・アンダルシア州グラナダ県 TEMIKPHOTO-38714

この疑問に対して早く答えを出そうとしたのか、
今度は直接、カーテンの裾から
漏れていた陽光を直視しました。

スペイン・アンダルシア州コルドバ県 TEMIKPHOTO-85962

やはり答えは同じでした。
それまで日本では見たことのないような
「閃々(せんせん)と光が今、
大地に降り注ぐようになったのだ」と
ここで確信出来たのでした。

スペイン・アンダルシア州マラガ県TEMIKPHOTO-38703

その日以来、お天気の良い日に窓辺に立つと、
光を浴びながら穏やかな気持ちで
風景を眺めている自分を感じるようになりました。
このような不思議な感覚は生まれて初めてです。

神奈川県浦賀にて  TEMIKPHOTO-158595

証明された光の変化?

光の変化を発見してから間もなくのことでした。
たまたま元東京住まいの人に電話をした際、
このことを伝えたくなってお話ししてみたのです。

鉄塔と雲  TEMIKPHOTO-166129

すると、返ってきた言葉は、
「それって、スモッグが単に取れただけじゃないの?
こちらの空は東京と違って、いつも澄んでいるわよ~!」ですって!

神奈川県・伊豆半島にて TEMIKPHOTO-158786 


その答えに対して、
いいえ、そんなことはない……と思いました。
しばし思案した結果、
そうだわ!立証するのにこの手があったと、
カメラの露出計を見てみました。

レンズの絞り TEMIKPHOTO-107897

すると、やはりでした!
以前は今よりも「一段位低かったような?」、
つまりは光量が今、倍になった気がするのです。
あのスペインの強い光のように……。

浦賀にて TEMIKPHOTO-158532

もしかすると、
あなたも降り注ぐ光の美しさの違いを
敏感に気づいていらっしゃるのでしょうか。

神奈川県・観音崎にて TEMIKPHOTO-159235

*****     *****     *****     *****

お話を終えて

お陰様で、スペインから戻って10年が経過しました。
帰国後に、「日本の印象を聞かせてくださいね」と
どなたかにきかれたことがありました。
おそらく私の気軽な感想を聞きたかったのでしょう。
でも、スペインの印象ならいざ知らず、
当時は時差ぼけやら、
逆カルチャーショックやらで、
ぼ~としていた私は考えが中々纏まらず、
結局返答が出来なかったのでした。

唯一当時、成田空港に降り立った時に感じた
日本の印象が、
「日本語の通じる私の見知らぬ国になっている?」でした。
原因はわかりません。
これはあくまでも感覚的な表現になりますが、
日本が、何か「もわーん」とした重い空気に
覆われているような気がしたのを覚えています。

花筏 恩田川 TEMIKPHOTO-33858

そして今。
嬉しいですね。
大地を降り注ぐ光が以前にも増して
美しく、眩しく変化したのではと感じています……。

ちなみにブログの題名に出てくる
「閃々(せんせん)」とは、輝くさま、
きらめくさまの意です。

最後になりますが、
久しぶりの投稿なのにも関わらず、
最後までお読み下さり本当にありがとうございました。
不定期ではございますが、今後も写真ブログを通して
お話をさせて頂きたいと思っています。
どうぞ宜しくお願いいたします♪





投稿者: FotoMikiko

スペインに在住していたプロフェッショナル・フォトグラファー。主に風景を中心に撮影。ブログでは、メインテーマの「スペインに残るイスラームの歴史文化」に関するほか、旅や自然風景の話題をお届けしています。また「アート・フォトグラフィー」の販売を行っております。お気軽にコンタクトフォームにてお問い合わせください。

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